○福津市環境基本条例

平成17年1月24日

条例第106号

目次

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 環境の保全及び創造に関する施策(第8条―第16条)

第3章 手続等(第17条)

第4章 環境審議会(第18条―第22条)

第5章 雑則(第23条)

附則

地球環境は、オゾン層の破壊、地球温暖化、酸性雨などに見られるように年々悪化傾向にあり、世界的に問題となっています。それとは別に、身近なところにもさまざまな環境問題が増加してきています。

環境の意味は時代によって違い、その感じ方は人によって違いますが、豊かな環境の恵みを受ける権利は、すべての人や動植物に等しくあります。豊かな環境は、私たちの生命や生活を支え、心の豊かさを享受させてくれます。そして私たちが受けているこの環境の恵みは、次の世代の人や動植物に対し、今の世代を生きる私たちが保証しなければなりません。

私たちは、環境問題が私たちとは無関係な問題と考えるのではなく、私たちの日常生活と深くかかわっていることとしてとらえなければなりません。そして私たちにとってこの環境問題が、もはや議論する問題ではなく、行動しなければならない問題であることを知らなければなりません。それぞれの立場で、時には協働しながら、今こそ私たちは行動を始め、次の世代から借りているこの環境を、豊かなまま次の世代へ返さなければならないのです。

このような認識のもと、環境が豊かな市、心が豊かな市の実現を目指して、ここにこの条例を制定します。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造について、基本理念を定め、並びに市、市民、事業者等及び滞在者の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本的事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び次の世代の市民、事業者等及び滞在者の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 市、市民、事業者等及び滞在者の活動により環境に加えられる影響であって、自然及び生活環境の保全上、支障の原因となるもの及びそのおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境問題 市、市民、事業者等及び滞在者の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少、その他地球全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る問題をいう。

(3) 循環型社会 自然の物質循環を損なうことなく継続的に発展する社会をいう。

(4) 市民 住民登録にかかわらず、市に住む人、市で働く人、市で学ぶ人等をいう。

(5) 事業者等 市内において、公的機関、民間を問わず、又は営利、非営利を問わず事業や活動を行う者をいう。

(6) 滞在者 市内への旅行者等をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、現在及び次の世代において市民、事業者等及び滞在者のだれもが生命及び財産の安全と健康な心身を保持し、快適で文化的な生活を営む権利を享受するとともに、地球環境問題を自分たちの問題と認識し、人類の存続基盤である地球環境を良好な状態で次の世代に継承することができるよう適切に推進されなければならない。

2 環境の保全及び創造は、環境への負荷が少ない持続的発展が可能な社会を構築するために、市、市民、事業者等及び滞在者がそれぞれの責務を自覚し、それぞれの役割分担のもとに、かつ、協働のもとに行われなければならない。

3 環境の保全及び創造は、市、市民、事業者等及び滞在者が生態系の構成員として自然の中に生存していることを認識し、多様で良好な自然環境を保全、新たに創造するため、自然との共生と調和を図らなければならない。

4 環境の保全及び創造は、快適な地域環境を創造するために、水及び緑等の地理的特色や市の歴史的及び文化的特色という市の個性を生かした美しい景観の形成を図るとともに、伝統文化、歴史的遺産が保全され、かつ、活用されること等により、良好な文化環境の形成が図られなければならない。

5 環境の保全及び創造は、市、市民、事業者等及び滞在者が環境を構成する大地、大気、水、その他のものの資源としての重要性と有限性を認識し、それぞれの責務を自覚し、自らの事業、活動や行動を環境面から見直し、省資源、省エネルギーの徹底や資源のリサイクルの推進などを行うことにより、持続的発展が図られる環境への負荷の少ない循環型社会の構築が目指されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、基本的かつ総合的な環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造を図るため、日常生活において環境への負荷を低減し、環境の保全及び創造に主体的に取り組むように努めるとともに、市の環境の保全及び創造に関する施策の推進に積極的に参画し、協力する責務を有する。

(事業者等の責務)

第6条 事業者等は、基本理念にのっとり、環境への負荷の低減に努めるとともに、その事業や活動に伴って生ずる公害等を防止し、又は自然環境を適正に保全するために必要な措置を講ずる責務を負う。

2 事業者等は、基本理念にのっとり、その事業や活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するために必要な措置を講ずるように努めなければならない。

3 前2項に定めるもののほか、事業者等は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が推進する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(滞在者の責務)

第7条 滞在者は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら積極的に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 環境の保全及び創造に関する施策

(環境基本計画)

第8条 市は、すべての施策の策定及び推進に当たっては、福津市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)に基づき、環境への配慮を優先し、環境への負荷の低減、その他の環境の保全及び創造を図るように努めるものとする。

2 市民、事業者等及び滞在者は、環境基本計画に基づき、環境への配慮を優先し、環境への負荷の低減、その他の環境の保全及び創造を図るように努めるものとする。

(環境白書)

第9条 市は、環境の状況、環境基本計画に基づく環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等を明らかにするため、環境白書を定期的に作成し、公表するものとする。

(環境情報の提供)

第10条 市は、市民、事業者等及び滞在者がそれぞれの役割分担に応じて行動するために必要な情報の提供に努めるものとする。

(指導及び助成)

第11条 市は、市民、事業者等及び滞在者が自発的に行う環境保全行動及び環境への負荷の低減に関する行動が促進されるように必要な指導及び助成の措置を講ずるものとする。

(規制の措置)

第12条 市は、環境の保全及び創造を図るために、必要な規制の措置を講ずるものとする。

(調査の実施)

第13条 市は、環境の保全及び創造に関する施策の適正な推進を図るために環境に関する情報の収集に努めるとともに、必要な調査を実施するものとする。

(勧告及び命令)

第14条 市は、環境の保全及び創造並びに環境への負荷の低減を行う上での支障を排除又は防止する必要があると認めたときは、その行為者に対し、適正な処置を行うように勧告するものとする。

2 市は、前項の規定による勧告を受けた者がその勧告に従わないときは、その勧告に従うように命ずることができる。

(費用の負担)

第15条 市は、環境の保全及び創造並びに環境への負荷の低減を行う上での支障を排除又は防止するため、市が事業を実施した場合、その事業の必要を生じさせた者に、その事業の実施に要する経費を負担させることができる。

(推進体制の整備)

第16条 市は、関係行政機関、市民、事業者等及び滞在者と連携し、環境の保全及び創造に関する施策を推進するために必要な措置を講ずるものとする。

第3章 手続等

(手続)

第17条 福津市環境創造条例(平成17年福津市条例第107号。以下「環境創造条例」という。)に定める環境への負荷行為を行おうとする者は、環境創造条例に規定する手続を行わなければならない。ただし、環境への負荷行為が福津市開発事業指導要綱(平成17年福津市告示第106号。以下「開発指導要綱」という。)の適用を受ける場合には、まず開発指導要綱で規定する手続を行うものとする。

第4章 環境審議会

(設置)

第18条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、環境審議会(以下「審議会」という。)を置き、次に掲げる事項を調査及び審議する。

(1) 市長の諮問に応じ、環境保全及び創造に関する基本的な事項及び重要事項

(2) 市、市民、事業者等及び滞在者が環境基本計画に基づき実施する環境の保全及び創造に関する施策の策定及び推進や取り組みを総合的に評価し、改善する点を提言、答申、勧告すること。

(3) その他環境の保全及び創造に関し必要なこと。

(組織)

第19条 審議会は、市長が委嘱する委員10人以内で組織する。ただし、男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。

(任期)

第20条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

2 委員の再任は、妨げない。

(会長及び副会長)

第21条 審議会に、会長及び副会長それぞれ1人を置き、委員の互選によりこれを定める。

2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第22条 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席した委員過半数をもって決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

第5章 雑則

(委任)

第23条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成17年1月24日から施行する。

福津市環境基本条例

平成17年1月24日 条例第106号

(平成17年1月24日施行)