2014年1月15日号

 津屋崎の末広区の一角に木工房があります。北海道出身で彫刻家の細井護さんが「テノ森（みんなの木工房）」をオープンしました。ここでは家具や木工品作りの講習会と貸し工房のサービスが受けられます。
 先月、机作りの講習会を受講しました。家族が使うための一生もののテーブルを作ることにしたのです。楓や樫、桜、胡桃などの無垢の木から好きな種類の木材を選びます。私は桜材を気に入りました。桜の木は、使い込むことで自然な風合いが増して深い色合いに染まっていくからです。
 細井さんに特別にお願いして、製材からスタート。帯ノコやテーブルソーなどの機械を使って桜材から天板や足材を切り分けていきます。大型機械を使うため、細心の注意を払い製材を進めていきました。製材後はカンナ掛けです。カンナ掛けは木目を読むことが大切。逆目で掛けると木肌が荒れてしまうのです。カンナ掛けで、艶やかな木肌が現れます。美しい木目にうっとりする瞬間です。
 「作る」という行為には特別な喜びがあります。目・耳・鼻・舌・身などの感覚的な欲求を満たすよりも、深い喜びがあります。手を使い、頭を使い、材料に心を寄り添わせ
ながら全身全霊を注いで作るからです。
 お金さえ出せば何でも手に入る時代。現代の日本人は「持つ喜び」と「使う喜び」はよく知っていますが、「作る喜び」を忘れかけているのではないでしょうか。
 福津市には「テノ森」があります。「作る時間」と「作る幸せ」を取り戻すことができる特別な空間です。 藤野

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